脛骨骨折

スネの骨の骨折です。小型犬や猫では落下などによる骨折がよくみられます。
脛骨も周囲の組織が比較的少なく、血流に乏しいため、特に猫では癒合不全が起こりやすいと言われています。
膝近くの成長板での骨折も比較的よくみられます。

症例1

骨幹部斜骨折
患者:スコティッシュホールド 8ヶ月 3kg
インプラント:ALPS5+1.5mm皮質骨スクリュー(ラグスクリュー)
原因:猫タワーからの落下による骨折
猫で多い一般的な脛骨の斜骨折です。猫の脛骨骨折は癒合不全を起こしやすく、橈尺骨骨折同様に丁寧かつきちんとした固定が必要な手術になります。
骨折部位を合わせてプレート越しにラグスクリューを使用して骨同士を圧迫させ、プレートにて固定を行いました。

症例2

骨幹部粉砕骨折(開放骨折)
患者:日本猫 9歳 6kg 
インプラント:ALPS6.5+1.2mmKワイヤー
原因:落下による骨折
落下により脛骨が粉砕していた症例で、骨の一部は皮膚を貫いていました(開放骨折)。
骨折後すぐであったこと、小さな傷であったことからすぐに洗浄を行い、手術による固定を行いました。粉砕骨折の場合、骨の支えがなく金具だけで固定する必要があるので強い固定が必要です。
今回は髄内ピンとプレートを合わせた「プレートロッド」と言われる方法で固定を行いました。

症例3

近位骨幹部斜骨折+成長板骨折
患者:ボストンテリア 6ヶ月 4.3kg
インプラント:fixin mini
原因:落下による骨折
まだ若齢で、成長線が残っており、成長板を巻き込んだ骨の骨折を起こしていました。活動性の高い子で、近位の骨が小さめの骨折であったため、やや特殊な形のプレートで骨を固定し成長板骨折は成長線をつぶさないようにKワイヤーにてそれぞれ固定を行いました。

症例4

遠位骨端斜骨折
患者:日本猫 7歳 4.1kg
インプラント:ALPS6.5 ALPS4 2.0mmラグスクリュー
原因:足をはさんで、脱出しようとして骨折
足先に近い骨折の場合、骨折部位に力はかかるものの骨の量が少なく通常のプレートだけでは固定が難しくなります。
骨を合わせてスクリューにて骨を合わせるように固定し(ラグスクリュー)、二枚のプレートを設置しました。術後3か月で完全な骨の癒合が確認できました。

症例5

脛骨近位成長板骨折
患者:柴犬 3か月 3.5kg
インプラント:Kワイヤー
原因:落下による骨折
脛骨近位の成長板に骨折が認められました。この部位の成長板骨折は比較的よく起こりますが、若齢の場合には完璧に治さないと特に成長後に奇形を起こし、将来的な異常につながります。
かなり若齢のため、ピンとワイヤーで固定を行い、術後3週間でピンを抜いて成長線への影響を最小限にとどめるようにしました。

症例6

遠位成長板骨折
患者:日本猫 3ヶ月 1.2kg
インプラント:Kワイヤー1.0mm×3
原因:暴れて骨折
一見、レントゲンでは骨折がないように見えましたが触診にて骨のズレが確認でき、ストレスポジション(骨がずれる方向に力をかけてレントゲンを撮影する)では骨折が明確に確認できました。
こちらも成長板骨折のため、ワイヤーで成長板を障害しないように固定を行い、術後3週でピンを抜去しました。