動物では人と異なり、手術のみではなく検査(CT検査、MRI検査、内視鏡検査など)でも全身麻酔が必要な場合があります。そのため私たち獣医師は日々動物たちを診察する中で、全身麻酔処置・鎮静処置の安全性を高める必要があります。
当院では全身麻酔に局所麻酔や鎮痛薬などを併用する”バランス麻酔”を取り入れ、麻酔薬による有害反応をできる限り抑える事ができるように心掛けております。
「痛い」と声に出すことのできない動物たちのため、避妊手術や去勢手術などの簡易手術においても局所麻酔を併用したきちんとした鎮痛を行うことで、より安全に麻酔を実施できるように努めています。
麻酔/鎮痛に関して不安・わからないことがあれば是非お問い合わせください。

当院では月に一度麻酔専門医をお呼びして、より麻酔のリスクが高い症例の麻酔を担当していただいております。
また、スタッフの麻酔教育・指導も行っていただくことで、病院全体の麻酔技術の向上にも努めています。

局所麻酔について

局所麻酔薬を使用することで、全身麻酔薬の投与量を減らすことができ、麻酔の安全性が高まります。
局所麻酔にも様々な種類・方法があり、手術の種類や患者に合わせて選択しています。

末梢神経ブロック

手術によって痛みを感じる神経の周囲に局所麻酔薬を投与する事で、効果的に手術中の鎮痛を行います。
方法は様々ですが、当院では専用機器を使用し電気による神経刺激ガイドを行う事で、より確実に目的の神経周囲へ局所麻酔薬を投与しています。
全身的な鎮痛薬の投与と比べて効果は高いと言われておりますが、局所麻酔薬は投与後最大半日程度効果を保つ事ができないため、通常手術後には鎮痛薬投与による疼痛管理が必要となります。

浸潤麻酔

手術部位(皮下、皮内)に局所麻酔薬を投与する事によって鎮痛を行います。
手術後にも局所麻酔薬を持続的に投与する場合には手術部位にカテーテルを設置して、持続浸潤麻酔を行う場合もあります。

術後疼痛管理について

パッチ(フェンタニルパッチ)

注射麻酔(フェンタニルなど)

麻酔科 担当獣医師
村田 育枝
長濱 正太郎(定期サポート、指導医)