脊髄空洞症

脳や脊髄の周囲を覆う脳脊髄液(CSF)の流れに異状が生じ、脊髄の中に液体が貯留する空洞が形成される病気です。空洞ができることで神経に障害が起き、様々な神経症状をおこします。首のヘルニアとも症状が似ており、間違われることもありますが、治療方法は異なります。

原因

先天性、後天性があり、先天性が主ですが原因は未だ不明です。
後頭骨の奇形(尾側後頭部奇形症候群:COMS)があり、これにより脳脊髄液の循環障害が起こることが原因の一つと言われています。
脊髄損傷や脊髄腫瘍により後天性に起こることもあります。

症状

知覚過敏、疼痛が最も多い症状です。
首や体を掻こうとする行動、指先を舐める行動なども知覚過敏から起こることがあります。
痛みの場所がはっきりせず、どこかを痛がるということも多く認められます。
重症の場合には強い脊髄障害が認められ、四肢の不全麻痺も起こる場合があります。

診断

診断にはMRI検査が必要です。MRIにて脊髄の空洞、後頭骨の奇形の有無を確認します。

治療

未だに治療は確立されていませんが、基本的には内科治療と外科治療に分けられます。

■内科治療(保存治療)
鎮痛剤、脳脊髄液産生抑制、ステロイド剤など他にもステロイド剤を使う場合には肝臓保護剤と胃薬、抗生剤を使います。

■外科治療
内科治療に反応しない場合や麻痺が進行する場合などに行われることがあります。合併症や再発率なども高いので、慎重に検討する必要があります。
大後頭拡大術、空洞-くも膜下啌シャント術(S-Sシャント術)などの方法があります。