異物誤食(消化管閉塞)

犬・猫の異物の誤食は発生頻度の高いトラブルの一つです。犬では、おもちゃや木片、石、ビニールなど消化・通過できない異物を摂取する事が多く、猫では、おもちゃ・紐状物の誤食が多く認められます。また、人の薬剤や殺虫剤などを誤食してしまうケースもあります。
異物を誤食し必要と判断された場合、時間が経過する事で状態が悪化し治療が困難になっていく可能性があるため催吐処置や内視鏡、場合によっては手術によりできるだけ早期に異物を除去する事が望まれます。

症状

消化・通過できない異物の摂取では嘔吐・食欲不振・下痢などが認められ、消化管閉塞が起きると症状が悪化します。
薬物・殺虫剤などを誤飲してしまった場合には薬物の種類によっては消化器症状だけでなく、肝臓・腎臓障害などさまざまな障害が起こる可能性があります。
多くの場合誤食直後はあまり症状が認められませんが、誤食した可能性がある場合は検査や処置の必要性があるかの確認が重要です。

診断

まずは食べたもの・量などをきちんと確認し、検査や処置の必要性があるかを確認する必要があります。
誤食した物の内容や状況によってX線検査や超音波検査、CT検査などの画像検査によって場所、大きさ状況を確認します。
ひもやビニールなどX線検査には映りにくい異物の場合はバリウム検査が必要になります。
中毒などの可能性が疑われる場合には血液検査も必要となります。

診断

治療は催吐処置・内視鏡・手術による摘出に分けられます。

<催吐処置>

まだ胃に存在し、嘔吐させることで解決できそうな場合や、薬剤・中毒などで少しでも吸収を減らす必要がある場合には催吐処置を実施します。
催吐作用のある注射や催吐作用のある薬剤を飲ませることで嘔吐を促します。
薬剤や中毒物の場合にはさらに胃の中の洗浄が必要な場合があります。

<内視鏡>

催吐では胃から出せない場合、串などで催吐させるのが危険な場合、まだ小腸の入り口に異物がある場合などは内視鏡にて摘出を試みます。
内視鏡にて摘出が可能な場合には麻酔は必要となりますが手術の必要がなく、基本は日帰りでの治療が可能です。

<手術による摘出>

内視鏡でも取り出すことが難しい・危険な場合、すでに小腸まで移動してしまっている場合などは開腹手術が必要となります。
開腹し、異物の存在する胃や腸の一部を切開し異物を取り出します。
閉塞期間が長い場合や消化管の損傷が著しく壊死を起こしている場合などは消化管の一部の切除・吻合が必要となる可能性があります。
手術を行った後は入院下での内科治療も必要となります。