子宮蓄膿症

子宮蓄膿症とは子宮内に炎症が起こり、膿が貯留する疾患です。6歳以降の未避妊メスでよくみられますが、それより若齢でも罹患することがあります。犬では発情後1~2ヶ月の間にホルモンの影響により感染が起きやすく注意が必要です。子宮蓄膿症には外陰部から膿の排出が認められる場合と膿の排出が認められない場合があります。膿の貯まった子宮が破裂し、腹腔内に膿が漏れてしまうと腹膜炎や敗血症を起こし命に関わる事もあり、緊急性の高い病気です。

症状

外陰部からの排膿が認められる場合(開放性子宮蓄膿症)は子宮蓄膿症が強く疑われますが、排膿が認められない場合(閉塞性子宮蓄膿症)もあり、発見が遅れることがあります。その他の症状としては、元気/食欲低下、下痢、多飲多尿、腹囲膨満などが比較的多く認められます。なんとなく食欲が落ちたり、元気がいつもよりない状態から急激に体調が悪化することがあります。

診断

血液検査で一般状態、炎症の有無などを検査し、エコー検査やCT検査で子宮の拡張を確認します。子宮の拡張は子宮水腫などの疾患でも認められることがあるため、一般状態と血液検査、画像検査により総合的に診断していきます。

治療

治療には内科治療と外科治療があります。

内科治療

抗生剤の投与や、特殊な薬剤を用いて子宮にたまった膿の排出を促します。
軽度の症例や、麻酔が不可能な子では内科治療を行う場合もありますが、うまく反応しない場合や再発してしまう場合が多く、内科治療はかなり症例が限られます。

外科治療

治療の第一選択は外科手術です。手術では子宮卵巣摘出術を実施して膿がたまり炎症を起こした子宮と卵巣を切除し、その後適切な抗生剤を投与します。原因となる細菌のなかには抗生剤に耐性を示すものもあるため細菌培養検査を実施し、原因菌の特定と有効な抗生剤の選択をします。腹腔内に膿が漏れている場合は腹腔内の洗浄を実施します。