腫瘍

大型犬の脾臓腫瘍

大型犬、10歳、脾臓に発生した大型腫瘤の症例です。

食欲不振、元気消失の症状がみられたため近医を受診したところ、腹腔内出血とエコー検査で大型の腫瘤があるということで当院へご紹介いただきました。

脾臓にできた、大型の腫瘤(15cm大、総重量2kg)のCT検査画像です

大型犬ということもありますが、大きすぎる腫瘍になると発生部位を確定するにはCT検査での診断が必要になる場合もあります。

この症例では腹腔内に出血も起こしている状態であったため、輸血が必要になる前に早めに手術を行い脾臓ごと腫瘍を全摘出しました。

犬では脾臓腫瘤は約50%が悪性、その中でも「血管肉腫」という悪性腫瘍が多くを占めています。血管肉腫は出血を起こしやすく、脾臓摘出を無事に終えても数ヶ月程度で転移や再発を起こす非常に悪性度の高い腫瘍になります。

今回の病理診断の結果は「造血性結節性過形成」、なんと良性の病変でした。

大きいサイズの腫瘍は悪そうなイメージがあるかと思いますが、悪性度が高くないからこそ、気づかずにここまで成長してしまうケースも比較的経験します。

手術の時こそ少しヒヤヒヤしますが、今回は結果的に根治に近い治療ができたため、術後も元気いっぱいで退院していってくれました。

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