消化器

胃内異物(胃切開術)

今回ご紹介するのは、

0歳10ヶ月のゴールデン・レトリバーの症例です。

数日前、ご自宅で留守番中にペースト状のおやつの大容量パックを袋ごと大量に誤食してしまったとのことで、まずはかかりつけの動物病院を受診されました。

その際、催吐処置が行われ、ペースト状おやつの袋が数十本排出されたとのことでした。

しかしその後も、

元気・食欲の低下

繰り返す嘔吐

吐物の中にペースト状おやつの袋が混じる

下痢が続く

といった症状が改善せず、当院を受診されました。

検査所見

超音波(エコー)検査では、十二指腸の拡張を確認しました。

一方で、胃の中はガスが充満しており、内部構造を十分に評価することができませんでした。

胃のエコー画像

十二指腸のエコー画像

より詳しい評価のため、CT検査を実施しました。

CTでは、胃内に明らかな人工物は確認できなかったものの、胃の中に何らかの内容物が大量に存在していることが分かりました。

胃のCT検査画像

内視鏡検査と治療

試験的に内視鏡検査を行い胃の中を確認したところ、

多数のペースト状おやつの袋が胃内に残存していることが判明しました。

内視鏡検査画像

内視鏡下での摘出を試みましたが、すべてを安全に回収することは困難と判断し、

「胃切開術(胃を切開して異物を摘出する手術)」を行うこととなりました。

摘出した袋の写真

術後経過

術後の回復は良好で、

ペースト状おやつの過剰摂取による影響で下痢はしばらく続きましたが、

全身状態は安定し、無事に退院となりました。

留守中に、

ペースト状おやつを袋ごとこっそり食べてしまうワンちゃん・ネコちゃんは意外と多く、実際によく来院されます。

ペースト状おやつの袋は

胃の中で溶けることはありません

長期間胃内に留まったり

胃の先にある細い腸で詰まり、腸閉塞を起こす危険性があります

また、ペースト状おやつは嗜好性が非常に高いため、過剰摂取によって嘔吐や下痢を引き起こすこともあります。

さらに注意が必要なのは、

レントゲン検査やエコー検査では確認できないことがあり、見落とされやすい異物であるという点です。

予防のために

ペースト状おやつの袋は必ず動物の手が届かない場所に保管しましょう

大容量パックは特に注意が必要です

「もしかして、おやつの袋を誤飲してしまったかも……?」

そんな時は、様子見をせず、できるだけ早く動物病院を受診してください。

早期対応が、重症化を防ぐ大切なポイントになります。

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