ヘルニアの検査方法

確実な治療のために必要なこと。

予防の難しいヘルニアは、早期発見が何よりも重要です。
早期に外科的治療を行った場合の回復までの期間を示すデータは、適切な治療を早期に行えばかなりの確率で回復が見込めることを示しています。
保存的な治療では最低4週間のケージレストが必要です。
しかし、外科的な治療では圧迫物質を取り除き、早期にリハビリを開始することも可能なため、保存治療に較べ短期の内に回復する症例が多くなっています。
治療の予後のデータに関しては基本的には単純な椎間板ヘルニアが原因の場合のデータになります。
椎間板ヘルニアに伴って脊髄炎や脊髄軟化症が存在する場合や、その他の病気が原因の場合は治療法や予後が大きく異なってきます。
このため、治療を行う前には適切な検査を行い、しっかりとした情報を元に適切な判断を行うことが重要になります。

椎間板ヘルニアの検査法

犬の椎間板ヘルニアの治療のための診断を行うためには特殊な画像検査が必要です。
椎間板ヘルニアが疑われる症例の検査は、その目的によって大きく3つに分けられます。

各検査概要

レントゲン検査

主に骨の構造を確認するための検査です。
ヘルニアだけではなく、同様の症状を示す多くの病気を診断することができます。

5~10分

4,000~8,000円程度

造影X線検査

脊髄の圧迫を証明する検査です。
脊髄の輪郭および、一部の特徴的な所見を呈す腫瘍などの存在を判断することができます。

30分~1時間

20,000~30,000円程度

※当院ではCTやMRI検査を上回る利点がないため、単独での検査は行っていません。

CT検査

短時間で脊髄に対する圧迫を肉眼的に確認するための検査です。
当院では必要に応じて脊髄造影を行ったCT検査を行っております。
CT検査はX線を利用した検査で、脊髄と椎間板物質の存在を判断することができます。

10~15分

30,000~50,000円程度

※椎間板ヘルニアに関しては、画像自体の処理も比較的簡単ですので、すぐに結果をお話できます。
お預かりから結果のお話まで1時間程度です。

MRI検査

神経系のトータルの総合評価を行う上で重要な検査です。
ヘルニアだけではなく、同様の症状を示す多くの病気を診断することができます。
MRI検査は磁気を利用した画像診断装置です。
この検査は脊髄の形態の評価だけではなく、色調の変化などを伴う脊髄自体の変化の詳細な評価が可能です。

30分~1時間

70,000~100,000円程度

椎間板ヘルニア以外の病気の可能性も疑うのであれば、それらも判断可能なMRI検査が優れています。
椎間板ヘルニアの治療及び診断を目的とするならば、CT検査で治療に必要な情報は得られます。
また、造影レントゲン検査は熟練した獣医師が行った場合には、椎間板ヘルニアの診断と治療のために必要な情報を得ることが
出来ます。当院では症状のグレードや検査後に取りうる治療方法と、飼い主様のご意向等を勘案し検査方法をご提案しています。
適切な治療には適切な検査が欠かせません。
担当の獣医師と納得のいくまでご相談いただき、検査方法を選択しましょう。