活性化 T リンパ球(T-LAK)療法

がん治療には局所療法と全身療法があります。これまでの全身療法は抗がん剤による化学療法が主流でした。化学療法は体内の正常な細胞にもダメージを与えてしまうことから、「副作用に苦しむ治療」というイメージが強く、それが抗がん剤に対する抵抗感となっています。
そこで副作用のほとんどない治療として、当院では「免疫細胞療法」を行っております。この治療は患者の血液から免疫細胞(T リンパ球)を分離し、活性化・増殖させて再び体内に戻すことにより、体内で散らばっているがん細胞を排除する方法です。自分の細胞を培養して戻す「自家移植」ですので、拒絶反応を起こすことなく全身治療を行えます。

免疫の仕組み
そもそもがんの元となる細胞は常に体内で発生していますが、その都度免疫細胞により排除されるためがんは簡単には大きくなりません。しかし、加齢などによる免疫力の低下が起こると、よりがんが育ちやすい環境となり、最終的にはがん組織が形成されます。
免疫細胞療法はこの仕組みに対抗して、がん細胞を排除する力を高めることが目的となります。
採材〜投与までの流れ
採材から細胞の投与までの流れは上の通りです。少量の血液を採取し、約 2週間培養し、増殖したリンパ球を回収した後、再び投与していきます。このサイクルを1クール4〜6回行うことが多いですが、投与間隔や回数は相談で調節することが可能です。
他の治療との併用可能
免疫細胞療法は他の治療との併用が可能です。がんが大きい場合、思ったより効果が得られないことがあります。そのため、他の治療と併用することでより効果が期待されます。
実際の症例
【1】ミニチュアダックスフンド 12 歳 避妊メス
胃平滑筋肉腫(Gastrointestinal Leiomyosarcoma:GILMS)

便が細いとの主訴に来院。CT 検査を行い、胃の外側から圧迫をする腫瘍が認められた。外科切除は噴門部切除も含まれるため高率に食道逆流が起こることが予想されたため飼い主様と相談した結果、減容積手術(緩和的切除)+継続治療は T−LAK 療法単独を実施。 投与頻度は2週に1回×4回を終了後、1〜3か月に1回×10 回(2016 年 12月現在)
腫瘍は緩徐に増大していますが、治療による副作用もなく本人の生活の質(Qolity of Life:QOL)は治療中を通して非常に良好でした。2016年12月現在、生存期間も1127日と長期生存中です。
平滑筋肉腫は犬の胃の腫瘍では2番目に多く、外科切除困難な場合は予後不良と言われています。
消化管の平滑筋肉腫の犬14頭の報告では、生存期間中央値は21.3か月=約648日、完全切除不可能な3例中2例は術中・術後すぐに死亡しています。


【2】ラブラドールレトリバー 初診時9歳 避妊メス
頚部脊柱管内に浸潤した末梢神経鞘腫
(Peripheral Nerve Seath Tumor:PNST)

2週間前からの頚部痛と進行性の左前後肢ナックリングを主訴に紹介来院。来院時身体検査所見にて左前後肢の不全麻痺を認めました。
頸部神経疾患を疑ったため MRI 検査を行ったところ、第5-6頸椎領域に脊髄を圧迫する腫瘤を認めました。
外科切除後の病理診断結果が末梢神経鞘腫であったため、ほとんどの場合完全切除が困難であり再発率が高いことをご説明し、飼い主様と相談の結果、大学病院での放射線療法+T-LAK療法を選択されました。
放射線療法と並行して、投与頻度は2週に1回×6回を終了後、1か月に1回×6回を実施。
QOLスコアの推移
※全て5段階評価、最大合計40
治療前 4回目 8回目 再発時 12回目
活動 1 4 5 1 2
散歩 1 3 4 1 1
食欲 5 5 5 2 5
嘔吐 3 5 5 5 5
下痢
・便秘
2
(便秘)
5 5 5 5
排尿 1 5 5 5 5
体重減少 1 5 5 4 5
痛み 3 5 5 1 5
合計 17 37 39 24 33

治療を開始してから徐々に活動性などのQOLが改善し、治療開始してから4回目ではQOLがほとんど良好な結果となりました。(評価は飼い主様にしていただきました。)その後も治療中に副作用などは確認されず、非常に元気に過ごしていました。
第225病日に初回の再発が確認され、最終的には2度の再発・再手術後に残念ながら第533日で亡くなりました。
犬のPNSTは神経系悪性腫瘍の中では最も多く、神経根から脊柱管内に浸潤したものは完全切除困難であり予後不良とされています。また、化学療法、放射線療法の効果も乏しく、外科切除後の術後再発期間は平均1ヶ月との報告もあります。

対応可能疾患例

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