症状・症例

ケース21

症例 広範囲のヘルニアにより神経症状を呈した症例

<経過>
夕方散歩中に急に歩かなくなり、夜間救急にて注射などの治療を受けたところ、
あまり症状がよくならないということで翌朝に当院へ来院されました。

身体検査では腰の痛みなどはありませんでしたが、両後肢の不全麻痺を認めました。
まだ自力で2〜3歩歩けるような状態ではありましたが、昨晩よりも症状が進行していると
いうことで飼い主さまとの相談で当日にMRI.CT検査を行いました。

<MRI>
第9胸椎から第1腰椎の広範囲の椎間において、椎間板ヘルニアによる左側からの圧迫病変を認めました。

<CT>
同部位の脊髄造影ライン欠損像を認めました。

<治療>
病変部位が広範囲に広がっていたため、一番圧迫の程度が重度だった第11-13胸椎の2椎間を中心に片側椎弓切除(ヘミラミネクトミー)を行い、椎間板物質を可能な限り除去しました。
若い子の急性ヘルニアでは椎間板物質が柔らかいことが多く、このように前後に病変が広がってしまうこともあるため、全てを除去するのは困難な場合があります。
今回は飼い主さまとの相談で、術後のリスクも少なく、ある程度広範囲にアプローチできる2椎間での手術を選択しました。

<術後1日目>
多少緊張している様子はありましたが本人の健康状態は良好で、徐々に足の痛覚が出始めました。

<術後2日目>
病変とは逆側の、右の後肢が動き始めました。

<術後3日目>
介助下で起立姿勢を自分で維持することが可能になりました。

<術後4日目>
左後肢の力がやや入りづらいものの、自力で立って歩くことが可能になりました。

<退院時の歩行>動画①あり
左ターンの時などに少しふらついたり尻もちをつくことがありますが、ほとんど生活に支障なく歩けるレベルまで回復しています。
退院後は自宅でのリハビリ療法を行ってもらいました。

<術後20日目>動画②あり
また体の左側をかくときに足を使うのが大変そうとのことでしたが、経過は良好です。


【術前】