症状・症例

ケース3

症例:ミニチュアダックスフンド 12歳

■第0病日
2週間前よりふらつきが認められ、徐々に悪化しているという主訴で来院されました。
来院時、自力での歩行は困難で四肢全てにおいて姿勢反応の消失が生じており、前肢において反射の低下、後肢において反射の亢進が認められました。
そのため、前肢LMNサイン、後肢UMNサインと判断しました。(LMN:下位運動ニューロン UMN:上位運動ニューロン)
一般身体検査所見や血液学的検査などを行い、頸部疾患を疑い全身麻酔下でのMRI/CT検査を実施しました。
MRI/CT検査において、第5-第6頸椎において神経の重度圧迫が認められました。
また、第4-第5頸椎においても軽度の圧迫の所見は認められました。
そのため、頸部椎間板ヘルニアの可能性が高いと判断しました。
今回の症状の責任病変は重度の圧迫がある第5-第6頸椎の可能性が高いと考え、徐々に悪化している可能性があるため、来院当日にベントラルスロット術を行いました。
(ベントラルスロット術とは腹側よりアプローチをして椎間板の一部を切除して神経を圧迫している物質を除去する手術です。)

■第1病日
四肢全てにおいて、姿勢反応の改善が認められました。痛みに対する反応も有意に改善しており、ふらつきは残るものの自力で立ち上がり歩行が可能な状況になっていました。

■第5病日
姿勢反応はすべて改善し一般状態も良好でした。

現在、歩行時のふらつきも改善し普通の生活を送ってもらっています。

■考察
これほど、術後の経過がよい症例も珍しいですが手術により顕著に改善が認められました。
今後として新たな椎間板ヘルニアの発生に注意をしてもらいつつも、元気に生活をしていただきたいと思います。